特徴と治療方針
当院の治療方針
- 診察の際には、耳、鼻、のどの様子を極力モニターでお見せし、現在の病状を ご理解して頂きやすいように努めております。
- 医療事故を未然に防ぐために、スタッフ全員で研修を行い、日々の診療に反映させる努力をしております。
- 院内で緊急事態が生じた場合に対応出来るよう、AED(自動体外式除細動器)や救急救命設備を備えており、定期的な救急訓練を実施しております。
- 徹底した器具の消毒、ディスポ製品の多用、医療廃棄物の処理、職員の感染予防に対する研修など、院内感染対策に力を入れています。
- 新型コロナウイルス感染症の流行以後、待合室にCO2モニター付き換気設備を設置し、常時換気をしております。また、発熱の方や感染症罹患中の方がお待ち頂ける隔離室を設置し、必要に応じてご使用頂いております。
当院の特徴的な治療法
アレルギー性鼻炎に対する「トリクロール酢酸による鼻粘膜焼灼術」
トリクロール酢酸という薬剤を、鼻粘膜に塗布する方法で、アレルギー性鼻炎の症状を緩和させる方法です。スギ花粉症の予防として本治療をご希望の場合は、毎年6月から12月頃までの治療をお勧めしております。予約制で行っておりますので、診療時もしくはお電話でお問い合わせください。
スギ花粉症・ダニアレルギーに対する「舌下免疫療法」
血液検査でスギ、ダニのアレルギーであることが確定している患者様が対象です。舌下にスギやダニのエキス錠を毎日舌下し内服することで、アレルギー症状を起こしにくくする体質を作ります。約4年かかりますが、根治的な治療法の一つです。治療には色々な制限や約束事がありますので、ご希望の方は診察の際にお申し出ください。
滲出性中耳炎に対する「オトヴェント®」を用いた自己通気治療
小児に多い滲出性中耳炎(中耳内に水が溜まり、聞こえにくくなる)は3ヶ月以上治らない場合、鼓膜切開、鼓膜チューブ挿入術が必要であると言われています。しかし、できるだけ侵襲の少ない治療法で病気が治れば、それに超したことはありません。オトヴェント®は、鼻で膨らませる医療用ゴム風船です。風船を膨らますと、鼻と耳をつなぐ「耳管(じかん)」という管を空気が通ります(自己通気:耳抜きのこと)。耳から鼻へ水が抜けやすくなり、自然に近い形で滲出性中耳炎を治癒に導くことができます。
漢方薬を用いた治療
当院では長年漢方薬を用いた治療を行っています。風邪の初期や夏バテなどの軽い症状には漢方薬のみでも十分対応出来ます。急性副鼻腔炎や急性咽喉頭炎、急性扁桃炎、急性気管支炎などの比較的重症な疾患では、抗生剤や抗炎症剤などと組み合わせて使用することで、より速やかな症状の改善が期待できます。その他にも、めまいやふらつき、耳鳴り、耳閉感、のどの違和感など、様々な症状に効果的な漢方薬があり、日常的に使用しています。また、小児の反復性中耳炎に対して、免疫力を上げる漢方薬を数ヶ月服用することで、発症を抑えられる効果が報告されており、当院でも実施しております。
対外的な活動
小児の気道異物啓発活動
当院長は3人の娘を育てる母親でもあります。
こどもたちが乳幼児の頃から、県内幼稚園・保育園の教職員・保護者に対して、十数年にわたり気道異物に関する啓発活動を実施してきました。
「気道異物」というのは、息の通り道に食べ物などの異物が詰まる事故のことです。
飴やミニトマト、餅、カステラ、こんにゃくゼリーなど、のどに詰まりやすい食べ物によって、全国で5年間に69名のこどもたち(0~14歳)が窒息し命を落としています(2022年3月消費者庁より)。
また、すぐに窒息には至らないものの、ピーナッツなどの乾燥した豆類は、乳幼児が何かの拍子に吸い込んで気管支に詰まることがあり、全身麻酔下の緊急手術を余儀なくされます。
全国調査で、1年半に170件の手術が行われています(2008:日本小児呼吸器疾患学会雑誌より)。
気道異物啓発のための絵本「つぶっこちゃん」
絵本「つぶっこちゃん」
2017年11月、気道異物の怖さ、食べ物への配慮の大切さを印象的に伝えるために、気道異物予防のための絵本「つぶっこちゃん」(発行:ブイツーソリューション、発売:星雲社)を、三重県出身の絵本作家・つつみあれいさんとコラボし作成、発行しました。「つぶっこちゃん」というとてもかわいらしいキャラクターが、気道異物事故の現場に向かい「あぶないよ」と教えてくれます。こどもから大人まで親しみやすく、それでいて事故の本質はかなりリアルに表現されている、今までになかった絵本です。巻末には、万が一気道異物事故が発生した際、実施して頂きたい気道異物除去法、救急蘇生法をつつみさんのイラスト付きで載せました。ご家庭、幼稚園・保育園などでの事故予防にお役立て頂ければ幸いです。「つぶっこちゃん」は当院内、Amazon等にてご購入頂けます。
読み聞かせ動画が出来ました。是非ご覧ください!
気道異物予防のための絵本「つぶっこちゃん」〜つつみあれい・坂井田麻祐子〜
防ごう窒息事故「もしも誰かがのどに詰まらせたら」気道異物予防絵本~つぶっこちゃんPart②応急処置編~
現在の啓発活動
県内の幼稚園・保育園での講演に加え、子育て支援センターでの講話、県内保健師・看護師・栄養士などの小児に関わる職種の方々への研修会、関係雑誌や出版物への寄稿を実施しています。
また、保育施設や乳幼児健診の場における気道異物事故への認識・予防活動などを知るためにアンケート調査を実施し、学会報告・論文発表を行っています。
2022年2月より、地域の看護師、助産師、栄養士、保育士、幼稚園教諭とともに気道異物啓発チーム『つぶっこの会』を結成いたしました。
2ヶ月に1回程度、津市内あるいは県内の市民センターや会館にて啓発イベントを実施しています。
Instagramで現況をお伝えしておりますので、是非チェックしてみてください。
気道異物予防のためのチラシは、2020年4月から三重県津市のご協力により「赤ちゃん訪問事業」「乳幼児健診」にて配付して頂いております。
院内には常時置いてあります。
HPからもダウンロード可能ですので、子ども達の命を守るために、是非ご家庭でお役立てください。保育施設や地域でもご自由にご利用ください。